☆SJ20のボディ補修!

●8年目の会話
 2006年5月末現在、新車当時から26年、我が家に来てからは24年、最初にエイトをレストアしてから8年目を迎えています。はっきり言ってしまうと、相当ボロいのです。それもワビ錆かもしだす貫禄あるものではなく、クロスカントリー走行や事故、ときにはぶつけたりと、人為的に痛めつけられた部位が殆どであるのが現状。気になるものの、放置状態が続きました。
 SJ20Vの外観が見れるようになり二台を並べてみると、新品パネルが組まれているSJ20Vの穏やかな表情に対して、SJ20Fの表情は悲しく歪んでいるように見えます。知っていながら、見ないフリをして放置しているオーナーに呆れているようでもあり、実際にボディパネルは全面が歪み、クラックがいくつも入り始めています。

 リメイクから”8”年目という節目の年。部屋の整理をしていると、一枚の古いフロッピーディスクが出てきました。そこには艶をたたえた凹みやサビのないボディを煌かせた、気持ち良さそうなエイトの画像が焼き付けられていました。リメイクを終えたばかりの、記念撮影でした。傷や、凹みが思い出や勲章であるという考えもひとつです。 でも、放っておくわけにはいかない。だから今、やります。稚拙な技術で、色々な事を思い出しながら!

ボディ補修〜フロントパネル編〜

 クルマの顔つきはフロントパネル。先ずはここからリペアしてゆきます。赤い囲みが凸凹のところ、右はガス欠して路肩に寄せる時に誤ってぶつけました。左はクロスカントリー走行中に意図的に壁に押し当てたり、擦ったりして歪んでいます。青の部分は交通事故の傷痕です。黄色い囲みは誤ってエンジンを激突させ、コアサポートがベロベロです。真ん中の棒は車載状態でタイミングベルト類を交換するのに邪魔で、切り落としています。緑の部分は腐食で貫通していることを意味します。つまり、グチャグチャです。遠目には解り難いのですが、近くで見ると・・・・・

○事故痕補修

 先ずは事故痕から補修してゆきます。ブラインドコーナー出口で停車していたスターレットを避け、土手を駆け登り標識に激突。バンパーは「への字」に曲がり、クシャおじさん。パイプが食い込んだので深く、複雑に凹んでいます。通常はパネルを装着したまま、車体を冶具とした方がやりやすいのですが、それどころのダメージではないのでパネルをとり外します。

 
 ボディマウントが、下から捲れて「バンザイ」しています。オリジナルと比較するとよくわかります(勿論、手前がオリジナル)V字の具合の違いから、どの位つぶれているかも理解できると思います。。マウントがパネルを押し上げているのでここを補修しなくては始まりません。順番を考えて叩かなくては、中々上手に戻りません。叩き出すというより、叩き戻すというのが正しいかと思います。

 
 右は修正後です。マウントの溶接部が強く、二重になっていることもあり少し形状が悪いですが、マウント位置は正常になりました。これが戻ると、下側のスカート部が補修できますのでずいぶん真っ直ぐになっています。

 
 表側も補修します。上側を戻してから、スカート部。棒を切り取った痕は、切断して左右と同じ形状に折ってあります。これだけでフラフラしていたパネルがシッカリしました。角はタガネとドリーを工夫して出しました。

○パネル右側補修
 
 こちらは、ぶつけたところです。一寸目をはなした隙に、坂道をコロコロ・・・ドンッ。破損したレンズのみ交換して、そのままでした。クリアのレンズ部が押されて周囲一帯が凹み、ヘッドライト上部は盛り上がっています。よって全体がお辞儀してしまい、真ん中の事故痕と合わせてパネル全体が捩れています。ですから表情はニヤリと薄ら笑いを浮かべたようで、間抜けです。盛り上がったところを抑え、裏側からドリーで荒出しした後に全体を均しました。お辞儀していた低姿勢も、ようやく背筋を伸ばしました。

○パネル左側補修
 
 岩に当ててポッコリ凹んでいます。何かのときに余ったパテをちょっとだけ塗ってあります。意味はないですが。土壁に擦りつけた部分は前面から凹み、サイドは押されて盛り上がっています。こちらは反対側と違い、ふんぞり返ってしまっています。前面の凹みを荒出しし、ポッコリはドリーを工夫して押し出して整形しましたのでほぼ元通りです。

○板金は完了
 
 コアサポートを板金して、全体の板金は完了しました。画像では変わっていないようですが、実に穏やかな表情に戻りました。折りこみ部もピンとして、裏から見ても形がちゃんとしました(最初の段階では自立すらできませんでした)。錆びていてまだ悲しげですが、残るはパテでの最終仕上げと、錆落としです。

○錆処理
 
 最上の画像にある緑色の囲みの部分は腐食により完全に鋼板が消失した部分を指します。フェンダー上部はスポット痕に水分が溜まり易いこと、鋼板が二重である事によってよく腐食します。また、スカート部左右はボディパネルのマウント部であり、こちらも鋼板が重ねてスポット溶接されている箇所です。この二点はフェンダーのミラー付け根と同じく、SJ10系ボディでは定番の箇所です。
 マウント部から補修してゆきます。生憎、手持ちの家庭用100Vアーク機では薄板の溶接は出来ませんので、できるだけ切り開いて処理してゆくことにします。

 
 ここでは錆チェンジャーをかなり多めに滲み込ませました。経験上、このようになってしまった場合、有効な補修は切り継ぎしかありません。重なった鋼板のどこかで錆が増殖する事は間違いないのですが、技術不足であることもまた事実。この上からファイバーパテを盛る事にしました。

○パテ入れ、研ぎ
 
 全ての腐食部を処理したので、面の修正と切開部の補修のためにベアメタルにしてからパテ入れしてゆきます。塗装の剥離には剥離剤ではなく、ディスクグラインダーで行いました。剥離剤は強力で粉塵も出ないのですが、溶剤が残りやすい事と生の鉄板を洗浄する必要があることから、アルミパーツの塗剥離程度にしか使いたくありません。パテは薄く、ファイバーパテとポリパテを使い分けて、クラックは半田で繋ぎました。

○サフ入れ、塗装
 
 激しい腐食があった部分。少々の歪みはご愛嬌・・・。


 全体にサフ入れです。微妙な歪みを修正しますが、管理人のウデでは今ひとつ。

 

 
 サフの乾燥を待って本塗装後、部品の組みつけ。今回、ライトハウジングは新品部品を投入しました。ネジ類も新品です。当然、ボルト穴は全てタップを立てておきます。この程度ですと仕上げタップで十分です。特にライトハウジングの固定ボルトは裏から泥や水がかかりますので必須です。顔つきがすごく良くなりました。これにてフロントパネルの修正は完了です。

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